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【天仙友の会報告】「がん性疼痛の緩和について」をテーマに講演

「第15回天仙友の会」のご報告

「第15回 天仙友の会」が2月7日(土)、中野サンプラザ・8階研修室4において開催されました。
今回は長年がん治療の現場で、がんをはじめ、難病患者の気功・鍼灸治療にあたって、西洋医学では治療法が見付からない患者に対しても多くの改善の実績をあげている「統合針灸治療院元気」の院長でいらっしゃいます鵜沼宏樹先生にお越し頂きまして、がん治療における痛みの緩和の方法を軸にお話を伺いました。

演題:がん性疼痛(とうつう)の緩和について

がんに伴って生じる痛みに対しては、腰痛、肩こり、首痛などのように1〜2回で施術をしたら終了というタイプではありません。がんである以上は痛みとはずっと付き合い続けなければいけないということです。私が帯津三敬病院の院内で患者さんにやっていたように、入院してたまたまそこに針灸師がいてずっと施術ができる場合は別ですけど、そうじゃない場合は、病院からの薬以外には、セルフでつまり自分自身、または家族の方が継続的にやらないと効果が上がらないのは事実です。例えばギックリ腰のような厳しい症状でもだいたい1回、多くても2回位で治療は終わります。しかし、がんは腫瘍がある以上、あるいは腫瘍によるトラブルがある以上はやり続けなければいけないのです。なので、患者さん本人かご家族のセルフの治療が重要です。

がんは治療による痛みは個人差がありますが、がんの痛みや治療の副作用に対してツボ療法などが役に立つ局面は多いというのは私の結論です。

このツボ療法について、これから
1.がんの痛みに対して 2.治療の副作用に対して
3.がんに伴い生じる症状に対して
4.生命力を高めるツボについて
の4つのポイントに分けて紹介します。

鵜沼宏樹先生の講演様子の写真

1.がんの痛みに対して

(A) 上半身、下半身共通の痛み
上半身、下半身共通の痛みに効くツボは、「合谷(ごうこく)」、「内関(ないかん)」、「支溝(しこう)」です。
「合谷」の位置は手を広げて親指と人差指の間を広げて、反対の親指の第一関節のシワを水かき部にあて押さえ込んだ時指先が当たる所にあります。次は「内関」ですけど、手首の手のひら側で腕の真ん中、手首のしわから指の幅3本分(第2、3、4指)のひじよりの大体中央の所にあります。すじの確認ができる人はそのすじのちょうど真ん中と覚えてください。これが内関の位置です。

「支溝」というのは、手の反対側の甲側、手首を背屈さえて、その際にもう一方の手の小指をあてた時人差し指のあたりで腕の真ん中です。このツボは体の痛みに対してオールマイティーに効くツボです。押し方は、この3つ全部使いたい場合は、ベースは1箇所1秒に1回、或いは患者さんの心拍数と同じベースで約5分程度を押す、力強く押さなくてもいいので、結構気持ちがよくなります。つまり、ツボ刺激プラスリズム感で押せば、疼痛緩和に繋がるわけです。

(B,C)乳がんの痛み、皮膚に転移したがん
次は、乳がんの場合、腫瘍が小さい場合はそうでもないけど、大きくなって皮膚の表面に出てきたり、あるいは皮膚とその他の腫瘍で皮膚に転移した場合は、真綿を絹布もしくはガーゼで包んであてると痛みの緩和によいです。

 (D) 温めて和らぐがんの痛み
温めて和らぐ痛みには、温灸がいいです。また自分で作れる簡単なペットボトル温灸器と、湯たんぽを使ってもよいです。うちの患者さんに勧めて使っている簡単な温灸器は、コンビニで売っている350mlのホットドリン専用のペットボトル(ホット専用でないとお湯を入れて、変形してしまうので、要注意)に温度調整用の木綿の靴下を2枚重ねで使います。靴下2枚重ねなので、お湯をいれても熱すぎません。温灸というのは80〜85度位のなで、大体10秒位で熱く感じるので、温度が下がったら、靴下1枚を脱がせばいいので、とても簡単で便利な温灸器です。温めて痛みが緩和できる疼痛であればこのような方法が勧めです。

(E) 手術創の痛み
手術創の痛みの緩和によいものというのは、手術創に痛みというのは、今はいろんなものはるけど、今日は見本として患者が手術創に実際貼ったものを切って持てきたけど、これは昔キネシオテープといって、元プロテニスプレイヤーの松岡さんが現役の時よく使っていました。このような伸縮性のテープは薬局などではなく、スポーツ用品のほうが買い求めやすいと思います。この伸縮性のテープを傷に沿ってその上3センチ、下3センチのところに貼る。そうすると痛みの緩和によいだけではなく、手術の治りが綺麗ですよ。ある年配の乳がん患者さんが、あまりにも痛い痛いとずっとおしゃっていたので、このような伸縮テープを貼ってあげたらやわらいだです。治療が終わって退院する時、傷口の治りがあまりにも綺麗なので、外科医もびっくりでした。また、こういうテープが煩わしいと思う人は、先程ご紹介しましたバイオネックを傷にそって2センチ間隔で貼っていく。絶対傷口に貼らないでくださいね。傷の上下をサンドイッチのように貼ります。

(F) 貼って痛みが和らぐもの
最後に、貼って痛みが和らぐものついては、帯津三敬病院でもビワを使っています。ビワの葉を洗って、冷蔵庫にストックして使用しています。検証したわけではないですけど、葉は若葉よりも色の濃い緑の葉のほうがいい、と言われていますが、3年ものがよい、5年ものがよいとかと言われても選ぶ時は かなり大変です。なので、この種のものを使う場合は、色の濃いものを使うことが基本です。使い方はビワの葉の色の濃いつややかな表側を患部の肌に当て使用します。また、ビワの葉の効果はいろんな媒体では紹介されているけれど、がん細胞に対してなかなかそうはいかないことは事実です。痛みの緩和、がんによる疼痛の緩和には使っても良いと思うところです。過剰の期待は禁物です。

がんの痛みに対して

2.治療の副作用に対して

浮腫みの場合は、ヘアブラシ、またはほかのタッチの柔らかいもので肘の内側と、脇の下を5分ほどタッピング、または把握マッサージをするといいです。つまり、リンパ液に対する筋肉マーサッジ、ツボを押すことでよくなることもあります。マサージをした後伸縮するテープをグルグル包む場合があるので、嫌がる方もいます。

足の場合は、陰稜泉というツボは結構有効です。このツボのとり方は内うちぶしからすねの骨の内側を下からさすり上げたとき骨の出っ張った所です。このツボの指圧は結構足のむくみの緩和によいです。但し1セットは30回程押してください。強く押す必要はないけど、1秒1回のスピードで1日2セットをやってみてください。あとは、ヘアブラシで鼠蹊部を1分程度タッピングするのもいいです。後は内うるぶしのもっとも高いところから陰稜泉のところまで把握マッサージをすることもよいです。

3.がんに伴い生ずる症状に対して

今のところ、西洋医薬では呼吸困難に対して治す薬がないのが事実です。呼吸困難に関して、背部をヘアブラシでタッピングすると緩和されるので、情報として紹介しておきます。そのほか、免疫低下による帯状疱疹とその後の神経痛は、病院の治療でなかなか痛みの緩和ができない患者さんに診療所ではよく焼き針を使いますが、普段ご自身で使用する場合は、お灸、簡易灸でも症状が和らげます。腹水の場合は、足底、特に湧泉(ゆうせん)、足裏前の3分の1あたり中央のへこみの所を指圧するか、足湯をやることで緩和されます。実際に私のところによく来られるがん患者さんは、このツボ指圧と足湯で腹水が緩和された例がありました。またはそばパスタを貼ることもよいです。個人差もございますので、そばパスタを貼れば必ず腹水が消えるということではないので、ご自身で試してみて、効果があるようでしたら続けてみることです。一番やりやすく、お勧めする方法は足湯です。 

※そばパスタの作り方:そば粉をボールに適量入れ、熱湯を注いで固めてよく練る。熱いうちに1.5cmから2cmの厚さに延ばしてお腹全体に貼る。この時へそは何かで覆っておくこと。パスタの上にガーゼをのせる。

治療の副作用に対して

4.生命力を高めるツボ

生命力を高めるほか、炎症の抑制や疼痛の緩和に効果的なのは、足三里のツボにお灸、またはニンニク灸(ニンニクは5mmの厚さにスライス)をお灸することです。または湧泉というツボを1秒1回のペースで300回指圧することもお勧めです。これらのことをやることでがんが消えるということではないですけれども、治療による副作用の緩和、生命力を高めることができるので、無理のない範囲内でトライしてみてください。

■講師
統合針灸治療院元気 院長鵜沼宏樹先生

■プロフィール
針灸師・指圧師、中医師(漢方医)、健康管理士
世界医学気功学会 理事
帯津三敬塾クリニック気功講師

■経歴
1981年 中国に留学

1989年 中国北京中医学院(現・北京中医学大学)卒業。留学中より、天津、瀋陽、北京各地で針灸医、気功医師、太極拳家に師事、技術を磨く。
日本帰国後、針灸・指圧師資格を取得。帯津三敬病院中国室室長として西洋医学と連携し、末期がんをはじめ、難病患者の気功・針灸治療にあたる。

2005年 東京池袋に現針灸院を開設。現在も定期的に中国各地の治療家、太極拳家を訪れ、高度な技術と知識の習得に励む。

■問合せ先
統合針灸治療院元気
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-9-11 カーサ池袋301
電話・FAX:03-5952-8268

■著書
「ときめき養生訓(簡化外丹功 DVD付)」(エクスナレッジ)
「症状を楽にする簡単気功レシピ」「医療気功」(春秋社)
「元気になれるとっておきのツボ療法」(婦人の友社)

生命力を高めるツボについて説明している写真