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【特集】各国のがん専門医との対談
【第1回】日本編-国際癌病康復協会理事が各国のがん専門医師と対談-

【連載第1回 日本編】 帯津三敬病院名誉院長:帯津良一医師、九段クリニック名誉院長:阿部博幸医師との対談

【連載にあたって】では、著者と推薦者のアメリカがんコントロール協会会長のフランク・コウジノウ博士の言葉を紹介しました。【第1回 日本編】として、帯津三敬病院名誉院長の帯津良一先生、九段クリニック名誉院長の阿部博幸先生との対談を紹介します。

以下、アメリカ編、香港編、台湾編、そして最終回のタイ編を紹介します。

  • 【連載にあたって】序文と推薦者の言葉(⇒内容を読む)

    【序文】国際癌病康復協会理事 陳海威

    がん治療のもう一つの可能性として注目される漢方療法の展望

    【推薦の言葉】アメリカがんコントロール協会会長 フランク・コウジノウ

    がん治療における代替医療の重要性と漢方がん治療の占める位置

  • 【第1回】日本編(⇒内容を読む)

    【帯津良一 帯津三敬病院名誉院長・医学博士】

    身体、心、生命の人間丸ごと診るホリスティック医学を推進

    【阿部博幸 九段クリニック名誉院長・医学博士】

    標準治療の壁を打ち破ると期待される漢方がん治療

  • 【第2回】アメリカ編(⇒内容を読む)

    【Joyce O'Shaughnessy アメリカ内科医学会内科腫瘍専門認定医】

    西洋医学と東洋医学の融合による受益者は患者、医師、そして医学界

  • 【第3回】香港編(⇒内容を読む)

    【施祖榮 香港大学中医薬学院准教授・中医学博士】

    漢方薬の天仙液に関する研究試験で大腸がんに対する抗腫瘍作用を検証

  • 【第4回】台湾編(⇒内容を読む)

    【王萬波 台湾大学医学院微生物学科教授】

    中薬「天仙液」の基礎理論研究と実験によって得た抗がん作用

  • 【第5回】タイ編(⇒内容を読む)

    【Jakkriss Bhumisawasdi タイ保健省公共衛生部公衆衛生課総督察長】

    「タイ医学と代替医学部門」の目的は中西医統合によるがん治療

【帯津良一 帯津三敬病院名誉院長・医学博士】

東京大学医学部卒業。東京大学病院第三外科、都立駒込病院外科医長を経て、1982年に帯津三敬病院を開設。2005年には帯津三敬塾クリニックを開設。がん治療に中国医学(漢方医学)を取り入れた中西医結合医学の先駆者で、統合医学、ホリスティック医学の第一人者。現在、帯津三敬病院名誉院長、帯津三敬塾クリニック顧問、日本ホリスティック医学協会会長、上海中医薬大学客員教授などを務める。

身体、心、生命の人間丸ごと診るホリスティック医学を推進

陳:帯津先生は日本ホリスティック医学協会の会長でいらっしゃります。日本ホリスティック医学協会を設立する目的とは、どのようなことだったのでしょうか。
帯津:がんは身体だけの病気ではなく、心にも、生命にも深く関わっている病気です。主に身体だけを対象とする西洋医学では、手を焼くのは当然のことです。そのためには、身体、心、生命を丸ごと診る医療が必要だとの思いから、ホリスティック医学協会を設立したのです。
陳:ホリスティック医学と西洋医学は、相反するところはございますでしょう?もしある場合、両者どのように融合したらよいか。
帯津:私どもの病院では現在、身体に対しては西洋医学を、心に対しては様々な心理療法を、そして生命に対しては中国医学(漢方医学)やホメオパシーなどを駆使しています。現在において、西洋医学はホリスティック医学の戦術の一つです。その上で、私が一番大切に考えているのは、医師と患者さんとの信頼関係、一体感です。
陳:東京では帯津三敬塾クリニックも設立しているそうですが、そのクリニックについて教えて頂けますでしょうか。
帯津:帯津三敬塾クリニックは、11年前にメトロポリタンホテル側からの要請で開設しました。現在は顧問として、がんのよろず相談を柱に、漢方薬、気功、ホメオパシーなどを駆使した治療の指導にあたっています。
陳:帯津三敬塾クリニックでも患者さんに気功を教えているそうですが、病院ではどのように取り入れているのでしょうか。
帯津:気功は病院の開設以来、30年以上にわたって行っており、ホリスティック医学の中核としています。帯津三敬塾クリニックでも指導をしていますが、病院では週に15功法を30プログラム行っています。気功は自然治癒力を高める方法として、患者さんから高い評価を得ています。
陳:多くの患者さんから先生とお話しをするだけ病気が半分以上治ると言われているようですが、いつもどのように声をかけるのでしょうか。
帯津:私はとにかく、患者さんの話を聴きます。そして納得されるまで話し合います。とはいえ、じっくりと患者さんの話をさえぎることなく、心から聴けるようになったのは最近のことです。
陳:今後のがん治療において、中西医結合による治療が新しい流れになるのでしょうか。

帯津:私どもの病院のがん治療の方針は次の三つです。
⒈物理化学的方法 西洋医学による治療
⒉自然治癒力を高める方法 中国医学(漢方薬)をはじめとする多くの代替療法
⒊治療者と患者さんの関係 話を聴き、話し合い、良好関係を築くことが生み出す効果
このように、西洋医学と中国医学を合わせた中西医結合によるがん治療を実践しています。上記のどれも重要なことで、これからもがん治療の方針として変わらず続けていきたいと思います。

陳:先生の著書にも、複合漢方「天仙液」に対するご意見や評価を書いてくださり、これからアメリカで行う予定の「天仙液」ヒト臨床試験について、ご意見をお伺いしたいのです。
帯津:ヒト臨床試験を行うことは、今後の方向性、または進み方としては、正しいやり方であると思います。すべての試験基準に従い、最後まで完成することを期待しており、きっとよいデータと研究成果が得られると信じております。

【阿部博幸 九段クリニック名誉院長・医学博士】

札幌医科大学卒業。慶應義塾大学付属病院にてインターンを修了後、米国に留学。ペンシルバニア大学フィラデルフィア小児病院およびクリーブランド・クリニックにてクリニカル・フェロー修了。順天堂大学講師、日本大学助教授、スタンフォード大学客員教授、杏林大学客員教授を経て、1988年、九段クリニックを開設。現在、九段クリニック名誉院長、アベ・腫瘍内科・クリニック、九段クリニック水戸の理事長を務める。

標準治療の壁を打ち破ると期待される漢方がん治療

陳:1988年東京・九段下でクリニックを設立してから27年という長い日々、さぞ毎月多くの方々が健診や、病気の治療のためにクリニックを訪れているかと思います。その多くの受診者の中から、おそらく1〜2%位の患者様が、検査の結果でがんの疑い、あるいはがんであることを宣告された時の患者様の反応を教えてください。
阿部:日本人のがん罹患数は多い部位順に、男性は胃がん、前立腺がん、肺がん、大腸がん、肝臓がん、女性は乳房がん、大腸がん、胃がん、肺がん、子宮がんとなっています。(2011年:国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」)九段クリニックでのがんの発見は、いずれも早期がんのことが多く、完治する場合が多いのですが、皆一様に「晴天の霹靂だ」と驚き、恐れを隠しきれません。
陳:患者様ががんの疑い、またはがんと宣告された時、専門医としてどのようにお言葉をかけるのでしょうか。また、どのようなアドバスをされていらっしゃるのでしょうか。
阿部:日本では、今やがんは国民病の一つで誰もが罹りうる病気です。2人に1人ががんになる時代と言われています。しかし、早期発見であれば治る可能性があるので悲観する必要はありません。
陳:2007年に「アベ・腫瘍内科・クリニック」を設立されたそうですが、その設立の目的をお伺いしたいのですが。
阿部:東京には自由診療でがん治療を行うクリニックがたくさんありますが、そのほとんどはアンチエイジング、美容治療などと一緒に行っており、クリニックの実態が分りにくく、がん患者さんをトータルでケアできるクリニックはほとんどありません。そこで、私が責任をもってがん患者さんの主治医として総合的に患者さんを診る、がん治療に特化したクリニックを開設しました。私が責任をもって、がんという病気を診ますという意味を込めて、「アベ・腫瘍内科・クリニック」と名付けました。
陳:クリニックで行われている「免疫細胞療法」は補助的な治療法の部類になるかと思いますが、その治療法は標準治療の手術、抗がん剤、放射線治療、分子標的薬治療との大きな違い、つまりその相違点は何でしょうか。
阿部:免疫治療はこの数年、世界的に高い注目を集めています。2010年にFDA(アメリカ食品医薬品局)が樹状細胞ワクチンを認可し、2011年には免疫のブレーキを外すCTLA-4の抗体薬を認可してから、免疫治療は次世代のがん治療と考えられるようになっています。私の施設ではこの数年で免疫治療の研究開発に成功し、飛躍的進化を遂げており、補助的な治療ではなくなりました。
標準治療との相違点は、免疫細胞療法は人間が生まれながらに備わった免疫という生体防御システムを強化して、自らの免疫力でがん細胞を攻撃するものなので、副作用や痛みもなく、入院の必要もなく、日常生活を送りながら治療ができることです。
特に私どもの樹状細胞ワクチンは、一人ひとりの患者さんの「がん細胞」に合わせてワクチンを製造する、分子標的治療(がん細胞特異的治療)になります。治療効果があり、しかも抗がん剤と違い抗腫瘍効果が持続するというのも大きな特徴です。
陳:日本のがん患者様もきっとほかの国々の患者さんと同じ、「免疫細胞療法」のほか、漢方(日本の和漢、中国漢方)、健康食品、あるいは民間療法などの補助的な治療法を選択したりするかと思いますが、患者様がそれらの選択をされた時、専門医としてどのようなアドバイスをなさるのでしょうか。
阿部:免疫治療や標準治療による主たる治療を補助するサポーティブ・ケアは、とても大切だと考えます。漢方やサプリメント等は、何と言っても製品の品質を見極めることが必要です。同時に、使用目的に対して十分な効果を得られるものなのか、成分含有量なども確認する必要があります。更に、その製品と服用中の薬剤との相互作用を確認することも非常に重要です。
陳:様々な細胞基礎試験、動物、ヒト臨床試験を行ったハーブ薬、つまり漢方は「免疫細胞療法」の一環として、併用することは可能でしょうか?
阿部:免疫増強剤(BRM)として、多くの生薬や漢方が用いられています。がん治療に使用する場合は、がん細胞に対してどんな作用があるのか(がん細胞特異性)を見ておくことがポイントです。
陳:2001年に『がん治療の壁を打ち破ったのはやっぱり漢方だった!』という書籍を出版され、書籍の中で複合漢方薬「天仙液」を紹介してくださいました。その当時、どのようなお気持ちで書籍を出版されたかをお伺いしたいのですが。
阿部:いわゆる標準治療では、がんの治療には限界があり、再発、転移のために5年生存率も50%を超える程度でした。(当時の話で、現在はもう少し良くなっています。)そこで、何とかして生存率を延ばすため、補助的なもの、免疫を高めるもの、がん細胞殺傷力のあるものを探しました。そんな時に出会ったのが「天仙液」だったのです。漢方という伝統的な医療の経験が、新しい基礎研究によって裏打ちされていました。この情報を多くの人々に知らせたいという気持ちだったのです。
  • 【連載にあたって】序文と推薦者の言葉(⇒内容を読む)

    【序文】国際癌病康復協会理事 陳海威

    がん治療のもう一つの可能性として注目される漢方療法の展望

    【推薦の言葉】アメリカがんコントロール協会会長 フランク・コウジノウ

    がん治療における代替医療の重要性と漢方がん治療の占める位置

  • 【第1回】日本編(⇒内容を読む)

    【帯津良一 帯津三敬病院名誉院長・医学博士】

    身体、心、生命の人間丸ごと診るホリスティック医学を推進

    【阿部博幸 九段クリニック名誉院長・医学博士】

    標準治療の壁を打ち破ると期待される漢方がん治療

  • 【第2回】アメリカ編(⇒内容を読む)

    【Joyce O'Shaughnessy アメリカ内科医学会内科腫瘍専門認定医】

    西洋医学と東洋医学の融合による受益者は患者、医師、そして医学界

  • 【第3回】香港編(⇒内容を読む)

    【施祖榮 香港大学中医薬学院准教授・中医学博士】

    漢方薬の天仙液に関する研究試験で大腸がんに対する抗腫瘍作用を検証

  • 【第4回】台湾編(⇒内容を読む)

    【王萬波 台湾大学医学院微生物学科教授】

    中薬「天仙液」の基礎理論研究と実験によって得た抗がん作用

  • 【第5回】タイ編(⇒内容を読む)

    【Jakkriss Bhumisawasdi タイ保健省公共衛生部公衆衛生課総督察長】

    「タイ医学と代替医学部門」の目的は中西医統合によるがん治療